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マルセル・プルースト『失われた時を求めて』4

しばらくマルセル・プルースト『失われた時を求めて』の読書を中断していた。忙しかったわけではない。貧乏ヒマありなのは相変わらず。ただ、気分が乗らなかっただけである。怠惰な性分なので頭に活字が入らない時はそれに従って映画を観たり音楽を聴いたりしてヒマを潰しているのである。だからこの『失われた時を求めて』岩波文庫版第四巻も挫折して、これでまた最初から読み直しということになるのかな、と思っていた。

 

そんな読書なので、もちろんストーリーなんてさっぱり忘れているに決まっている。ただ鈴村和成『愛について』を読み、またプルーストを読みたくなったのでいちいち最初から読み直そうとしなくても良いんじゃないかな、と思ったのだ。『失われた時を求めて』なんて何処から読んでも同じような話じゃないか。不勉強を指摘されれば、今度時間が纏まって取れた時に再読するとでも返すしかない。情けない話だがそれが本当のところだ。

 

本書で登場するのは重要なヒロインとなるアルベルチーヌ。彼女に接近する下りとそこから親しくなる過程が「超」がつくほどスローテンポで語られる。『愛について』で語られていた『消え去ったアルベルチーヌ』では彼女はバイセクシュアルとして登場するらしいが、そんな素振りは見せない。ただ単に素朴に思慕の対象として現れ、そして魅力的な女性として振る舞う。全然難しい話ではない。グルーヴさえ掴めれば楽に読める本だ。

 

本巻はなかなか人気が高い巻だという。私も読み通して(グルーヴを掴むまではなかなか大変だったけれど)、ひと夏の恋物語が今でも純粋に楽しめる強度を孕んだ本であることを確認させられた。邦訳第二巻で展開される「スワンの恋」がキツくて光文社古典新訳文庫版で挫折した思い出が蘇る。結局私は「私」が思念を発展させる過程を楽しみたい読者なんだろうなと思った。これは高遠弘美訳でも読み直したいなと思ったところ。

 

海辺のショットが美しいなと思った。到るところで海が頻出する。「複数」の海……私自身海と縁の遠いところで生まれ育ち、それ故に海に憧れを抱いてしまうせいか「私」が恋物語に興じる場面を眩しく感じられるように思いながら読んだのである。「私」もアルベルチーヌもあまりにも無垢だ。大人になる寸前でしか味わえない「青春」……そんなものが描かれていて、私も十代に戻ったようなそんな気分にさせられた。


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